2003~2020年度の川崎医科大学衛生学の記録 ➡ その後はウェブ版「雲心月性」です。

新年 あけましておめでとうございます。

2006.1.03.

初春の挨拶ということですが,まず,昨年末に特に一年の回顧もしておりませんので,それから入ろうと思います。

教室関連では,4月から西村講師が着任してくださいました。老化と免疫というテーマで学部~博士課程を修了された後,前任地の兵庫医大ではアスベストに関わって来られたということで,着任以来,我々の教室にとっても非常に大きな力になってくれています。関連の事象への博識さと,毎日遅くまで仕事に熱中してくれている様子に,教室の研究を支えてくれる情熱を感じます。また,前任地の仕事をまとめて発表された9月の日本免疫毒性学会では年会賞も受賞され,喜ばしいことでした。三浦先生も近い世代の先生が,そしてこれまでの背景が異なった人材が入ってきてくれたことで,一層,彼女の科学への好奇心が触発されたようで,二人でその時々に対応している研究についても討議をしているようです。但し,大槻の個人的な反省という面では,二人が頑張ってやってくれていることを良いことに,学会や共同研究や,大学の所用を理由として,飛び回ることに満足してしまって,しっかりとした研究方針の検討やや自分自身が手を動かしていた研究についての実践が,非常に疎かになってしまいました。二人の努力についつい自分の気持ちに厳しくなれずに居たようです(これでは,学生指導で彼らに「甘いよ」って云えないですね)。改善しなくては,と,強く感じております。また,兵藤先生には,通常の兵藤先生ご自身の研究に加えて,医大を筆頭に,学園関連の教育について,本当に,短大・医療福祉大・リハビリ学院・旭川荘の看護学校等々,非常な努力で,携わってくださいました。この場を借りまして感謝いたします。

補助員さんは,9月一杯で畑田さんが移動となりました。昨年の雑感にも記しましたが,充分な彼女の興味を引き出せないまま,こちらも飛び回っている中だったもので,いけなかったと思います。移動先で,彼女の実力が十分に発揮出来ているようで,嬉しく思っております。そして,11月からは山下さんが参加してくださいました。まだ,2ヶ月ですが,慣れない職場であろうと思いますが,頑張ってやってくださってます。年も改まり,いろいろと実験に関連して,お願いすることが増えていくかも知れませんが,宜しくお願いします。加えて,昨年末には,学年全体の増改築の一環で,校舎棟の我々の教室の実習予備室の明け渡しが急遽決定し,幡山さんには,陣頭指揮でそのまとめをしていただき,非常に感謝しております。開学時の物品等が文字通り山のように眠っていて,その実質的な整理や伝票との照合など,また,企画室や施設部の方との交渉などなど,気の遠くなるような作業だったと思います。加えて,普段の兵藤先生の実験補助に加えて,共同研究の関連の実験を,それも時間の限られた中で,非常に精力的にこなしてもらいました。これまた,感謝で一杯です。

さて,2005年は,研究や教育の領域で考えますと,一昨年年末から冬場にはノロウィルスの感染性腸炎の集団発生が話題になったりもしましたが,なんといっても,6月末からのクボタ・ショックと称されるアスベスト問題でした。我々の教室は,先代 植木絢子教授の頃より「珪酸やアスベストの生体影響~中でも免疫系への影響の検討」を主幹の題材として研究を進めてきていた訳ですが,感覚として若干現在の予防医学~産業医学の中でも傍流のような印象だったのですが,いきなりその題材が話題の中心に引きずり出されたという印象も拭えないような,謂わば,騒動という言葉に近い状況が本邦ではありました。マスメディアは年末よりの耐震偽装に話題を移らせてしまっていますが,アスベスト問題,まだまだ,実務的な健康障害を被られた方々,あるいは家族~遺族の方々の問題は元より,健康障害についての解明も待たれている現状と思ってます。日本の使用量~輸入量の推移から推察するに今後とも健康障害を生じる方が激増することが予測もされておりますし,今年は,いろんな学会でもこの問題での特別討論などが組まれる様です。我々も以前から研究の首座にこの問題を据えているのですが,単に長くやっているということではなく,現状として,その問題に対して,我々の教室として,主として免疫学的側面を研究対象とはしているものの,予防医学の基礎的科学研究を行っている部署として,曝露から発症機転の解明の中で,その予防に繋がる分子機序と予防に即した分子標的の検出に,一層の努力をしなければならないと感じております。全員一丸となって鋭意精一杯以上の努力をいたしましょう。

回顧に伴って,否応無く,今年=2006年の抱負にも話が及んでしまいました。

2005年の12月には予報に反して,厳寒の年の瀬で,倉敷でも積雪を観る日もありました(右写真・附属病院の前庭です)。



さて,今年,2006年です・・・・・・。

年の初めには,大槻は郷里の福知山(JRの事故で昨年はこの地名も,そのJR線の名称として,マスメディアに頻出しました)へ帰省しておりましたが,元旦は全国的に,好天の良い年賀でした。謹賀新年です。家族と一緒に,天橋立に行って来ました。砂浜は,12月の名残の積雪で眩しい冬の陽光とあいまって,風情豊かな初春の景色となりました。



天橋立の智恩寺・文殊堂は「本堂は文殊菩薩を安置し,室町時代に創建されたもので,銅板葺きの宝形作り。また内陣の4本柱が当時の面影を残し、「切戸の文殊」として親しまれている。奈良の「安倍文殊」、山形の「亀岡文殊」と並んで日本三文殊の一つ。「三人よれば文殊の知恵」で親しまれている智恩寺の本堂。」でありまして,初詣のお供えの線香の煙を頭に浴びせると智慧を授かるとのことで,列になっていましたが,並んで,浴びてきました。これで,今年の研究もバッチリかしら?

いづれにしても,やはり年が改まると気持ちも引き締まります。

本当に研究に専心して,そしてそれが,人々が健康の不都合なく天寿を全う出来るために役立つ成果を出していくことに一所懸命,真摯に対峙していかなければならないと思っております。

大槻は個人的には,やはり,昨年後半のような「仕事そっちのけ」で腰を落ち着かせずに飛び回ることで,なんとなく,仕事している気になるような事態は避けていこうって,やはり,いつも研究のこと念頭において(年頭の挨拶って駄洒落ではなく),自らの仕事に対して,甘えることを律していかなければならないと強く感じてます。

また,一処に安住するような気持ちにはならず,挑戦精神を発揮して,どんどん,新しいこと,新しい状況に挑戦していこうと想いたく感じています。変化することを恐れていては,やはり,想定内のことしか出来ないでしょう。どんどん,自分の自分たちの殻を破っていこうという姿勢で,眼前の事象に向かっていこうと思います。

そして,今年は,9月に日本免疫毒性学会と日本産業衛生学会「アレルギー・免疫毒性研究会」の合同開催を行わなければなりません。学術的に,そして,集まりとして気持ちの温まる良い会にしたいと思っています。教室の皆さんには,いろいろと負担も掛けるかも知れませんが,頑張って良い会にして行きましょう。

今年も何卒,宜しくお願いいたします。

 大槻剛巳